2016年05月27日
小規模認可保育所とそれ以前の違いは?保育士が働くメリット・デメリット
2015年度から「子ども・子育て支援法」が施行され、「小規模認可保育所」が誕生しました。それまでは「小規模保育施設」として運営されていたものが、国の認可事業として位置づけられるようになったのです。小規模認可保育所のシステム、保育士が働くメリット・デメリットについてみていきましょう。
目次
「子ども・子育て支援法」の施行前後の違いは?
制度が改正される前の「小規模保育施設」は、定員が19人以下で国や都道府県の認可基準を満たすことができず、「認可外」として運営を行ってきました。新しい制度では定員が19人以下でも、市町村の認可が受けられるようになり、認可事業として公的補助を受けながら保育をすることができるようになりました。
認可前と認可後では、他にも以下の点で違いがあります。
- 施設の改修や運営において、公的な補助が受けられる
- 職員の配置・設備の基準が国の基準と同じである
- 入所の申し込みは園でなく、自治体でおこなう
- 自治体の利用基準によって選考基準が変わる
- 保育料は自治体が決め、徴収する(保護者の収入によって変動)
小規模認可保育所の特徴は?
小規模認可保育所に認定されるかどうかは、国の基準を元に各市町村が決めています。そのため、住む地域によって多少の違いが生まれます。国の基準は以下の通りです。
保育所
園児:20名以上
職員:全員が保育士の資格を持っている
保育士:0歳児3人に対して1人、1~2歳児6人に対して1人
広さ:0~1歳児は3.3㎡、2歳児以上は1.98㎡
小規模保育事業 A型
園児:19名以下
職員:全員が保育士の資格を持っている
保育士:保育所の基準+1人
広さ:0~1歳児は3.3㎡、2歳児以上は1.98㎡
小規模保育事業 B型
園児:19名以下
職員:全体の1/2以上が保育士の資格を持っている
保育士:保育所の基準+1人
広さ:0~1歳児は3.3㎡、2歳児以上は1.98㎡
小規模保育事業 C型
園児:19名以下
職員:家庭的保育者
保育士:0~2歳児3人に対して1人
広さ:0~2歳児は3.3㎡
認可保育園と比べて、小規模保育施設は職員の数も多めですし子ども一人辺りに対する広さも広めに設定されています。その分、手厚く細やかな保育をおこなうことが狙いとなっています。
「小規模保育施設」で働くメリット・デメリットは?
では、実際に「小規模保育施設」で勤務すると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット
認可外の施設で働くと、施設の運営費は保護者から支払われる保育料のみでまかなわなければなりません。小規模保育施設となることで運営費などの補助が出るため、保育士のお給料がその分アップすることが期待できます。また、運営費に補助が出ることで施設内の設備や備品(絵本やおもちゃなど)も充実させることができます。子どもたち・保育者にとってよりよい環境での保育が可能となります。
さらに子どもの人数に対する保育者・職員の数が決まっているため、保育者の負担が軽減されます。余裕を持って一人一人の子どもたちにキメ細やかな保育をすることができます。保育士の資格がなくても勤務できるので、仕事をしながら保育士資格を目指す方にオススメです。
デメリット
預かる子どもの人数が少ないため、子ども同士・職員同士・保護者との関係などに変化が少なくなります。そのため、一度大きなトラブルなどが起きてしまうと人間関係に行き詰ってしまう可能性が出てきます。施設の外で遊ぶことが多いため、安全面の確保に充分気をつける必要があります。公園までの移動にも事故のリスクがともないます。
施設の規模が限られているため、運動会などのイベントをする機会がなかったりします。また、発表会やお遊戯会などをおこなったとしても、規模が小さくなるため盛り上がりに欠けてしまうことがあります。保育者として、子どもたちをまとめ上げたり行事を企画・運営するスキルが育ちにくい環境となります。
保育士の資格を持った職員が必須ではない場合があるので、保育者の知識・技能にばらつきが出ます。その中できめ細かい保育をしなければならないので、責任が重くなりやすいです。