2016年11月29日
生活行為向上マネジメントを介護分野でも活用!気になる方法やメリットとは
年をとって体が自由に動かせなくなるのは、様々な理由があります。たとえば高齢になって転倒して骨折したことが原因で日常的な動作をほとんどしなくなったために、どんどん体が弱って寝たきりになったという話はよく耳にします。
さらにそうした状態になると家族や施設の介護スタッフの手を借りないと何も出来なくなってしまい、気持ちの面でも大きな負担を感じ、だんだんと生きる意欲も低下してゆくことに繋がります。
その一連の流れを断ち切るためにも生活行為向上マネジメントによって、その人の生活の質を高めることはとても大きな意味のあることです。
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その人が生活するうえで必要な日常生活動作の大切さ
高齢になって様々な理由で体の自由がきかなくなってくることは程度の差はあっても誰にでも起こり得ることです。そんな時、周りの人間はさまざまな世話を焼くことで自分も大変だと感じるし、やってもらう側にとっても気持ちの負担はけして小さくはありません。
生活していくうえで欠かせない基本的な動作である食事、入浴、排泄といった行為までもが誰かの手を借りなければ出来ないもどかしさ、そして介助する側にとっての負担は本当に大きいものです。
生活行為向上マネジメントの聞き取り
体が不自由になったときに作業療法士によるリハビリで手足の機能の回復を目指しますが、まずは本人が実際にどんな事ができて、してみたいと思っているか、そしてどんなことに興味があるかを作業聞き取りシートを使って明らかにするのが生活行為向上マネジメントのはじめです。
本人以外に家族の手を借りて実現することも出てきます。自分が出来ること、したいと思うこと、興味のあることなどを、介護が必要だからと言って全てしてもらうのではなく、自分自身でやりたいことを実現するために目標を立てる事で、どうすればその目的を実現できるかということを家族や周りの支援者などの意見を聞きながら計画を決めてゆきます。
そして実際に目標を達成するために作ったプログラムを実行するだけでなく、実行している途中で内容を点検することも行います。どんなことも当初の計画通りに実行することを最優先するのではなく、途中で評価することによって必要なときには内容を見直して修正することも大切です。
生活行為向上マネジメントを実施する目的
介護が必要な状態になったとき、どんな支援が求められているのかを生活行為向上マネジメントによって明らかにするのも目的のひとつです。ただし、利用者本人の希望と、家族などの周囲の援助者の希望とが食い違うことも考えられます。
利用者本人が体の機能を回復させて家に帰ることを目的にしたいと思っても、実際に受け入れる側の家族としては施設への入居を望んでいるということは少なからず起こりえるケースです。
そんなときにそれぞれの思いとニーズを把握し、その人にとって最も良い支援を行うことにつなげてゆくことが、介護の現場で生活行為向上マネジメントをおこなうことのメリットであり、最も大変な部分でもあります。
介護を施設から在宅へと移行する社会的な背景
年を取って介護が必要な状況になったら施設に入居して世話をしてもらう、そういうイメージがあった時代が過ぎ、これからも驚くべき速さで高齢化が進んでゆくことを考えると介護を施設中心から在宅中心に移行してゆこうとする流れは止められないものです。
そのための地域包括ケアのシステムの中のひとつが生活行為向上マネジメントの導入だといえます。作業療法士が生活行為向上マネジメントを実行することで看護師などそれぞれの専門分野のつながりや役割が明確になり、在宅介護で必要とされることがはっきりとわかってくるようになります。
そして生活行為向上マネジメントを実行することで、利用者の生活の質を上げることが最終的な目的です。