2017年01月12日
介護士と言語障害・失語症のある利用者のコミュニケーションの方法とポイント
言語障害や失語症の利用者は、自分の思いを上手に伝えることができません。介護士が話していることも理解できないことがあります。しかし、介護士と利用者にはコミュニケーションは欠かせませんよね。そういった利用者と円滑にコミュニケーションを取るには、どのようにしたらよいのでしょうか。
目次
言語障害・失語症には数パターンある
言語障害や失語症には、いろいろなパターンがあり、コミュニケーション方法も異なります。言語障害や失語症の利用者と話す際には、相手がどのパターンなのか、どのように対応したら良いのかをきちんと理解しておくと、スムーズにコミュニケーションを取ることができますよ。
言語障害・失語症の主な症状とコミュニケーション方法
運動性失語
聞いたり読んだりすることはできても、自分で話したり書いたりすることが難しい状態です。「YES」、「NO」などで簡単に答えられるような質問をするようにしましょう。何かを「言いたい」、「したい」タイミングを見計らって声をかけることができるよう、普段から利用者をよく観察しておくことが必要です。
感覚性失語
相手が話している言葉を理解できません。話すことが流暢な人もいますが、思っていることと話していることが一致しない場合がありますので注意が必要です。「話している言葉」が理解できないので、絵や写真、文字など「目で見てわかるもの」を取り入れると、意思の相違を防ぐことができます。
構音失語
麻痺などによって舌や唇が動かせず、上手に発音ができません。しかし、言葉の理解や文章を作り出すことはできますので、焦らずゆっくりと相手の言葉に耳を傾けましょう。相手の言葉を復唱すると良いですね。筆談や五十音表を取り入れるのも有効です。
言語障害
言語障害の場合、話すことができません。聞いて理解する、読む、書くなども困難です。文字や絵などを利用して、言葉を使わないコミュニケーションを心がけると良いでしょう。
健忘症
物や人の名前を思い出せない状態です。利用者が思い出せずにいる物や事柄を推測して、それを思い出せるきっかけとなるような言葉をかけましょう。
コミュニケーションのポイント
利用者のタイプに応じたコミュニケーション法を
言語障害・失語症において同じタイプであっても、症状は人それぞれです。ひらがなは無理でも漢字なら理解できる場合もあります。その人その人の症状をしっかりと見極め、症状に合ったコミュニケーション方法を取るようにするのがポイントです。
相手の辛さを考慮して受け止める
言語障害・失語症の利用者は、主に話すことに障害があります。介護士は、自分が言いたいことを伝えられない辛さ、相手が話していることを理解できないことの辛さなど、利用者が抱える辛さやストレスを考慮しながら接することが大切です。
じっくりと耳を傾ける
利用者が話していることが聞き取れなかったり理解できないこともあるでしょう。しかし、焦らせたり面倒くさそうな態度を取ったりしてはいけません。相手の話を理解しようとする姿勢が大切です。ゆったりと構え、相手が何を言おうとしているのか、じっくりと耳を傾けるようにしましょう。普段の生活パターンをしっかりと観察しておけば、利用者の考えを推測しやすいかもしれませんね。
話を途中で遮らない
言語障害・失語症の利用者が自分自身の力で何かを伝えるには時間がかかるかもしれません。しかし、本人が自分自身で伝えようとしているときには、話を途中で遮ったり先回りして代弁したりしてはいけません。
最後に
一口に言語障害・失語症と言ってもその症状や状態は人それぞれです。その利用者に合ったコミュニケーションを心がけるようにしましょう。