2017年06月12日
認知症介護のユマニチュードとはどんなケア方法?介護士が知っておきたいポイント
認知症介護として注目を集めているユマニチュード。認知症により暴力的になったり鬱状態になっている人に対しても、ユマニチュードを実践することで穏やかになると言われています。今回はユマニチュードのケア方法やポイントをご紹介します。
目次
ユマニチュードとは
「ユマニチュード」とはフランス発祥の認知症ケアの方法です。ケアをする側とされる側が、一人の人間として向き合うことで、円滑にコミュニケーションが取れるようになるとされています。
それまでコミュニケーションが上手く取れなかった患者さんとも驚くほどコミュニケーションが取れるようになるので「魔法の認知症ケア」とも呼ばれているそうです。特別な治療もなく、高額な治療費も必要としない、そして誰にでも習得できる介護方法ということで、注目集めています。
ユマニチュードの4つの基本
見つめる
視線を合わせることは、コミュニケーションを取るうえで必要なことです。認知症になると視野が狭くなるため、近くにいても認識してもらえないことがあります。まずは相手の視界に入り、あなたの存在を認識してもらわなければなりません。同じ目線の高さか相手よりも少し下から、約20cmの近距離で優しく目を合わせましょう。
触れる
ボディタッチは人間関係を親密にさせる効果があると言われています。ケアをするときには、相手の背中や手を優しくゆっくりと包み込むように触れましょう。支えるときも、下から優しく支えるように接すると良いですね。優しく暖かい手の感触は、相手に安心感を与えます。「掴む」のではなく「触れる」と意識してください。
話しかける
ケアする際には、優しい声のトーンで常に声をかけ続けましょう。反応が返ってこない相手にも「今から○○をしますね」、「気持ちいいですね」など積極的にポジティブな言葉で声をかけてください。心地よい言葉で優しく話しかけることがポイントです。
立つ
ユマニチュードの考案者のひとり、イヴ・ジネスト氏は「できるだけ立つことで人の尊厳を自覚する」と語っており、ユマニチュードでは1日20分以上は立つことを推奨しています。立つことは筋力の維持や身体機能の保持にも効果があります。自分で立つことができない患者さんに対しても、立位でケアするなど、立つ機会を持つようにしましょう。
ユマニチュードを行うポイント
気遣いを忘れない
ユマニチュードの技法だけを理解して真似しても意味がありません。ユマニチュードは、ケアをする側とケアをされる側の絆があって初めて成立するものだということを頭に入れておきましょう。目を合わせても優しい声をかけても、根本に相手への気遣いがなければ絆は生まれません。
ひとりよがりのユマニチュードに注意
ユマニチュードを実践したからといってすぐに相手の反応が変わるわけではありません。「ユマニチュードを実践しているから大丈夫」なんていう安心感を持つのも危険です。まずは目線を合わせることから始め、相手の反応をしっかりと見るようにしましょう。すぐに相手が変わらなくても、根気よく続けていけば徐々に相手の心がほぐれていきますよ。
ユマニチュードのNG行為
「腕などを掴む」、「視界に入りにくい横や後ろから声をかける」など介護士が普段何気なくやってしまいがちな行為でも、認知症を持つ本人にとっては不安や恐怖でしかありません。不安や恐怖をあおってしまいそうな行為は避けるようにしましょう。
自分のケアを見直してみよう
ユマニチュードの基本は、介護士にとって目新しいことではありませんよね。日常的に取り入れている人も多いでしょう。しかし、認知症のケアは時間に追われることも多く、自分でも気づかないうちに介護士主導のケアになってしまいがちです。
それは、介護される側にとって負担を感じるものになる場合もあるのです。利用者が負担を感じる介護では、うまくいくはずがありません。ユマニチュードを意識することが、自分のケアを見直すきっかけになるかもしれませんね。