2016年11月29日
介護職なら押さえておきたい介護保険法!見直しで変わることや施設の対応
日本では年々進行する人口の高齢化でこれまでに考えられなかった様々な問題に直面しています。そして変わってゆく社会情勢に対応するために高齢者の介護を社会全体で支えるための仕組みが作られることとなり、介護保険という仕組みが生まれました。
介護保険とはどんなものか
日本では国民の全てが健康保険制度に加入することとなっており、誰もが医療を3割負担で受けることが出来る世界に誇る制度があります。そしてそれと同じように、40歳以上の日本の国民全員が加入して、その保険料を負担することで高齢になって介護が必要な状態になったときに必要なサービスを受けられるように支えあう仕組み、それが介護保険です。
かつて高齢になった家族の介護はそれぞれの家庭が担うのが当然の事とされ、その結果主たる介護者にかかる負担はかなり大きなものとなり、高齢者が病気で入院した場合、病気が治癒しても家族が引き取りたがらない社会的な入院が増えたことで高齢者医療費が膨大な金額になったと言う経緯があります。
家族のあり方の変化に対応し、増え続ける高齢者を支える制度を維持してゆくために、介護保険の内容は定期的に見直しが行われています。
3年に一度行われる介護保険法の改正
2000年にスタートした介護保険制度は、介護が必要になった人を社会全体で支えてゆくために40歳以上の国民全員が保険料を負担し、それに加えて国税を財源として制度を維持してきました。
しかし、国税も財源が経済事情によって大きく変化するものであり、介護保険の内容も定期的に見直してゆかなければ社会保障としての制度を維持することが出来なくなる可能性もあり、3年に一度内容の見直しが行われています。
そしてどんな改正を行ったとしても全員にとって全てがよくなるというものではなく、ある人にとっては改正の恩恵が受けられても、他の人にとっては改正によって負担が増加したり制度そのものを利用しにくくなるといった差が生まれてしまうのは避けられません。
基本的には増え続ける高齢者を支えるために、負担部分の基準を見直して保険料収入を増やしたり、本当にサービスの必要な介護度の高い人がサービスを利用しやすくするといった変更が求められるというものです。
直近の法改正で変わったこと
介護保険法の改正は3年に一度行われ、直近では2015年に改正が行われました。まず今回の改正で要支援1と2の人が通常介護と訪問介護のサービスの適用外となりました。
しかし継続的にサービスを利用している人は、いくら法改正が行われたとしてもすぐに切り替えでサービスが利用できなくなるわけではなく、経過措置などのルールが各自治体でそれぞれに決められているため、事前にそのタイミングを確認しておく必要があります。
また、これまで介護保険制度を活用すれば誰でも自己負担は1割だけでサービスを利用することが出来ていましたが、この自己負担割合をその人の収入に応じて一定以上の基準の人は2割負担にすることとなりました。
自己負担割合が1割から2割へと変更される一定以上の所得が判断基準として定められていますが、その収入の判定方法にも特例が設けられているため、法改正によって自分の負担額がどのように変更されるのかは担当課やサービス提供者に確認してみるのもお勧めです。
さらに低負担で入所でき、現在多くの待機者がいる特別養護老人ホームへの入所基準が、要介護1から要介護3以上へと引き上げられました。介護保険法の見直しによって利用者の負担やサービスの利用条件が変化し、その結果施設での対応も変わることが考えられます。
人によってはこれまでと同じサービスが受けられなくなったり負担額が増えたりするケースもあるため、制度の変化を利用者にわかりやすく説明するためにも、介護職には介護保険法の内容を把握し適切に対応することが求められています。