2017年01月24日
歩行介助の方法や注意点は?介護士のための歩行の上手な支え方まとめ
歩くことは簡単なようで実はとてもバランスを取る力の必要な行為です。元気なときには当たり前に出来た歩くという行為が、日常生活で介護が必要になった人にとってはとてつもなく大変なことだったり、時に危険を伴う行為だったりするものです。足を交互に持ち上げて前に出すというだけの行動ですが、足を持ち上げる力が弱くなれば躓きやすくなるし、ちょっとした事でバランスを崩して転倒してしまったことで、骨折してそのまま寝たきりの生活を送るようになってしまうようなケースも少なくありません。こうしたことを予防するために介護士が歩行介助をする際に注意しておきたいことがあります。
歩くときの服装などにも気を配る
歩行介助に際しては介助を受ける利用者の安全を確保することが最も大切です。ちょっとした事で転倒などに繋がる可能性が高いのが身体機能の衰えた高齢者の特徴です。そのためたとえば歩くときにすそを踏んでしまう可能性のあるような丈が長めのズボンやスカートは避けるようにします。
そして歩くときにはくものはスリッパやサンダルのようにかかとがない履物だと、脱げたりちょっとした事で滑ったりする原因になるので、きちんとかかとまで覆う靴を履くようにします。脱いだりはいたりするのが楽なように大きめのサイズの靴を選ぶと脱げ易く危険なので、サイズがきちんと合ったものを選ぶようにします。介護用の脱いだりはいたりしやすくベルトで甲をしっかりと固定できるようなものが理想ですが、普通の靴を選ぶときにはサイズだけでなく底の形状が滑りにくいものを選ぶことも大切です。
その人の体の状態に合わせた歩行介助のコツ
歩行介助を受ける利用者の体の状態は人によって異なります。基本的には利用者の側にたって脇と腰の辺りを支えるようにします。けれども人によっては前に倒れやすかったりする傾向があるので、そのときは倒れやすい方向の向かい側に立って利用者のひじの部分を支え、相手には自分のひじを持ってもらうようにすると安定します。
歩行の際に杖を持つ人の場合は杖をついていないほうの斜め後ろに立つようにします。杖をつく人の場合、杖を持たない方向に体が傾きがちになるので、利用者の斜め後ろに立ってバランスを崩したときにすぐに支えられるように備えます。利用者より先に足を踏み出さず、後ろ側から利用者とおなじ方の足を後から出すような感じで介助すると上手くいきます。
さらに後遺症などで体の片側が麻痺している利用者の歩行介助の際には、麻痺のあるほうの側によりそうようにして立つのがコツです。麻痺のないほうに重心が傾き過ぎないように注意し、姿勢がアンバランスにならないように支えることが大切です。とくに体の片側が麻痺している人の場合、通常よりも転倒の危険性が高まるので必要に応じて介護器具などを利用することも効果的です。
歩行介助するときに注意したいこと
歩くというごく当たり前の行為が出来にくくなることで、利用者はとても自信をなくしていることが少なくありません。歩行介助の際には利用者に自立心と体を動かすことへの自信を持たせてあげることも大切な目的のひとつです。本人に歩く意志意思がある場合に介助して歩行させることが大切で、歩く意志がない利用者を無理に歩かせることは避けるようにします。歩く先に障害物がないかを常に確認し、利用者が出来るペースにあわせて一歩ずつ進むようにすることが大切です。
また、体を支えるときには余り力を入れすぎないようにして、どの姿勢が利用者にとっては最も楽なのかを良く見極めるようにします。高齢で体の機能の低下した高齢者は歩行時に転倒して骨折してしまうことでその後の生活の質を著しく低下させる可能性が大きくなります。利用者の状態をよく観察し、介護者はいつでも支えられる状態にして歩行介助をする事が求められます。