2016年09月26日
口腔ケアの方法やコツは?歯磨き介助などの介護士が知っておきたいポイント
介護士が行う「身体介助」の中の一つに「口腔ケア」があります。口腔ケアは普段の生活の中でも軽く見られがちですが、口の中には最近がたくさんいる状態を放っておくと、体力が衰えていたり抵抗力が弱っている高齢者にとっては大きなトラブルの元になってしまいます。
介護士として、口腔ケアについての知識を深めておきましょう。
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目次
口腔ケアの目的・その重要性は?
高齢者に対する口腔ケアには2つの目的があります。それが「口の中の清潔さを保つためのケア」と「機能訓練を中心とするケア」です。
口の中を清潔にすることは、小さな頃から誰もが認識していると思います。ですが、介護の現場では口腔内を清潔にすることで「誤嚥性肺炎」や「口の中の乾燥」、「口腔機能の低下」を防ぐことにつながっていきます。
高齢者に多い病気の一つに「誤嚥性肺炎」があります。これは、食べ物が誤って気道に入ることで発症しますが、もう1つ、唾液を飲み込む時に口の中の細菌が誤って肺に入ってしまうことでも発症することが分かっています。
高齢者の中には寝ている間に唾液を誤嚥してしまい、誤嚥性肺炎を発症してしまう方もいますので、口腔ケアによって口の中を清潔にすることはとても大切なことになってきます。
また、口の中を清潔にすることは誤嚥性肺炎を予防するだけでなく、虫歯や歯周病・口臭などの予防にもなりますのでしっかりと行っておくべきケアと言えるでしょう。
口腔ケアで得られる色々な効果
「口腔ケア」という言葉は、高齢化社会が進んできた中で生まれた言葉です。現在は保健・医療・福祉の分野で浸透し、重視されています。それは、高齢者の口腔ケアで色々な効果が得られることが分かったからです。
口腔ケアにどのような効果があるのでしょうか。
病気の予防
口腔感染症、全身感染症・発熱、インフルエンザ・誤嚥性肺炎、糖尿病、心臓病のリスクを低下する、全身疾患、認知症
身体的な回復・改善
口の機能維持・回復、味覚の改善、唾液の分泌を促進する、意識レベルの改善
口の中を清潔にすることで病気を防ぐだけでなく、口腔ケアによって認知症を防いだり、意識レベルを改善したり、と口腔内の清潔さとは無関係な部分でも効果があることが分かっています。
口を刺激することで、食べる楽しみを思い出したり、全身の健康維持・精神的な健康にも効果があると考えられています。
口腔ケアの方法は?
小さな頃から「歯磨きは自分でするもの」という意識が強いのは高齢者も同じです。そのため、第三者に歯を磨いてもらうことに抵抗を持つ方もいらっしゃいます。できるだけ短時間に効率よく口腔ケアできるように心がけましょう。
口腔清掃の方法
口腔清掃を行う際は、以下の手順で行います。
- 1.うがい
- 2.入れ歯の清掃
- 3.粘膜や歯の清掃
- 4.舌の清掃
- 5.歯ブラシによるストレッチ
- 6.うがい
入れ歯の清掃
施設を利用している方の多くが入れ歯を使われています。入れ歯の正しい清掃方法も身につけておきましょう。
入れ歯を外す
部分入れ歯は左右のバネを同時に外します。総入れ歯の場合は、下側の入れ歯から外すようにします。
入れ歯を磨く
洗面器などの器に水を張り、水を流しながら磨くようにします。入れ歯洗浄剤は週に1・2度使用しますが、事前に歯ブラシで磨いておきます。
歯磨きをする際のポイント
歯磨き介助をする際には使い捨ての手袋を使用し、1度使用したら廃棄するようにします。歯磨きをする際には歯ブラシを持っていない方の手でアゴを固定し、唇・頬をよけて磨きます。
歯磨きの途中でも歯ブラシが汚れたと感じたらこまめにすすぎ、余分な水分はペーパータオルなどでふき取ってから使用します。舌苔がついている場合には、舌ブラシや柔らかい歯ブラシを使って奥から手前にやさしくこすって落とします。