2016年10月08日
帰宅願望の理由と対応方法!介護施設の利用者が帰りたい気持ちになるワケ
施設で介護サービスを受けているときに「家に帰りたい」と訴える利用者さんっていますよね。うまく意思が伝えられない場合は、どこに帰りたいのかも伝わらないことがあり、対応に困っている家庭も少なくありません。今回は、「帰宅願望」が起こる理由と対処方法についてご紹介します。
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目次
帰宅願望はどこででも起こる
施設でサービスを受けている途中に起こる「帰宅願望」。介護施設など、自宅ではない場所にいるため起こると思われがちですが、そんなことはありません。
認知症が進んだ方になると、今いる場所がどこなのかを理解できないこともあるため、自宅にいても「家に帰りたい」と訴え、外出してしまう場合があるのです。家を探すために外出してしまい、徘徊や迷子につながる危険があります。
帰宅願望の理由とは
理由は一人ひとり異なり、さまざまです。
落ち着かない、居心地が悪いなどが理由であることが多い
利用者の多くは、自らが希望して介護サービスを使っているわけではありません。ほとんどの利用者が、家族による希望であるため、「納得して仕方なく」というのが現状です。慣れない施設などで、知っている人がほとんどいないという状態になると、不安を感じて帰宅願望が起こることがあります。
たとえ自宅であっても、部屋の模様替えして雰囲気が変わると、自宅ではないように感じてしまったり、急に子どもの家族と同居を始めるなど環境が変わってしまうと、同様の症状が現れる場合もあります。
具体的な例
ある70代の女性は、昼食の時間になると自宅に帰ろうとしていました。まだ自分は30代で、自宅に小さな子どもがいるから、早く帰ってご飯を食べさせなければならない、と思い込んでいたことが原因でした。
また、デイサービス中に外出しようとしていた男性は、仕事に行かないといけないと思っていたため、帰宅願望が表れていました。帰宅願望の理由はさまざまです。
認知症が進んでいても、自分の意思を伝えることができれば、帰りたい理由もわかりますが、うまく伝えられない人の場合は、帰りたい理由が伝わらないことも多く、家族でも対応に困っているケースも少なくありません。
帰宅願望が起きたときの対処法
帰宅願望が起こった利用者さんへの対処法をご紹介します。
ここにいて欲しい、居心地が良い場所であること、を伝える
「○○さんのためにご飯を作ったので、食べていってください」など、ここにいて欲しいという思いや、居心地が良い場所であることを伝えてみてください。
利用者さんの状況により異なりますが、どうしても外に出たがった場合には、近所を少し散歩して、「遠いみたいですね。また明日来てみませんか?」など提案してみるのもいいですね。ただし、外に出るとかたくなに帰らないと言い始めてしまうこともありますので、注意が必要です。
話をそらす
デイサービスなどの途中の場合は、「お迎えの車が来ますので、もう少し待っていてくださいね」と引き留め、子どものことや地域のことなど、その利用者さんが興味がありそうな話題で話をそらしてみてください。「待っている間に○○しませんか」など、レクリエーションを提供するのもいいかもしれませんね。
特に、認知症の利用者の場合は、職員が説得しても理解できず効果がありませんので、まず散歩などに連れ出して気持ちを落ち着かせましょう。気持ちが落ち着いたら、お茶を飲んでもらったりして意識を変えていくのがおすすめです。
帰宅願望が起こらないような対策も必要
入所したばかりの利用者さんや、内向的な性格の利用者さんには、まずは顔なじみの職員を作ることで安心してもらえるよう、職員から働きかけましょう。利用者さんと相性の良い職員を見つけてもらい、安心感を与えるといいですよ。
また、気が合いそうな利用者やご近所の利用者を紹介するなど、利用者同士の交流を仲介することも必要です。帰宅願望が起こる原因がわかれば対策も立てられますよね。話の中から、不安を感じていることや、身の回りに急な変化がないか、など注意してみておきましょう。